BLOG

  • TOP
  • BLOG
  • アシスティブテクノロジーを活用して働いた半年を振り返って(後編)
アシスティブテクノロジーを活用して働いた半年を振り返って(後編)

アシスティブテクノロジーを活用して働いた半年を振り返って(後編)

風馬白井 風馬白井

テクノツールで営業サポートを担当している白井です。

前編では、これまでの経歴、テクノツールとの出会いからテクノベースでの経験までを振り返っていきました。

後編では実際にテクノツールへ入社して約半年働いて感じたこと、アシスティブテクノロジーや制度の活用、今後の目標について書いていきたいと思います。

後編もどうぞよろしくお願いします。

テクノツールへの就職

昨年の夏、代表の島田から「テクノツールで働いてみませんか?」と声をかけていただいたことをきっかけに、就職することになりました。実際に研修を受け、9月から入社しました。

入社前に働く曜日や時間の希望も丁寧に聞いてくださり、自分の体調や生活リズムに合った形で働けるように配慮していただけました。

現在は週3日、1日あたり3〜4時間という勤務形態で働いています。

私の担当は、営業サポート業務です。主に、アームサポート「MOMO」を使用している方の活用事例を紹介するブログ記事の執筆を行っています。

スマートフォンやタブレット、パソコンの操作には、トラックボールを使っています。

腕を充分に動かすことができないため、通常のマウスは使えませんが、トラックボールなら親指だけでカーソルを操作できます。文字入力は、通常のキーボードではなく、パソコンの画面上に表示されるスクリーンキーボードをマウスでクリックして入力しています。

作業内容によっては複数のウィンドウやタブを開くため、スクリーンキーボードの位置や大きさを作業しやすいように調整しながら使っています。

また、長時間同じ姿勢でいると肘や腰、足などが痛くなるため、肘当てを使ったり、姿勢を変えたり、リクライニングで休憩を取ったりしています。

制度を活用して

前編で書いた通り、私は「重度障害者等就労支援特別事業」という制度を利用し、ヘルパーの支援を受けながら働いています。

長年、就労中のヘルパー派遣が難しいという課題がありましたが、それがようやく解消されつつあり、昨年からこの制度を利用して働けるようになりました。家族への負担も少しずつ減らすことができています。

入社にあたっては、この制度を利用するための申請が必要でした。役所の方々やテクノベースの皆さんが丁寧に対応してくださり、無事に受給が決定しました。

この制度自体はすでに始まっていたものの、地域での利用者はほとんどおらず、テクノベースでも初めての事例でした。また、介護事業所でもこの制度の存在があまり知られていないようだったので、自分や周りの人が制度を理解する良い学びになりました。

テクノツールでの半年間を振り返って

仕事を始めて、あっという間に半年が経ちました。

今でも思い出せますが、リモートワークで使うパソコンの設定や社用メール、チャットツールの導入を行い、2日目には全社ミーティングで皆さんに挨拶するところから始まりました。

これまで就職経験がなかったため、最初は分からないことばかりでしたが、少しずつ業務に取り組む中で自分のペースに合った勤務にも慣れてきました。生活にもメリハリが生まれ、大きく体調を崩すこともなく過ごせています。

基本はリモートワークなので、対面で会う機会はありませんが、はじめのうちはチャットでどの程度まで相談してよいのか分からず戸惑いました。その中で、細かいことでもこまめに連絡・共有することがとても大切だと実感しました。

3月中旬には「みんなでつくってくの会議」という全社員が集まるミーティングがあり、初めて対面で皆さんに会うことができました。リモートワークは基本的に一人での作業になりますが、直接会って会話することの大切さを改めて感じました。

今後の目標

入社後、利用者事例ブログの執筆を始め、これまでに6件の記事をホームページに掲載することができました。

最初は構成案を作成し、チェックとまとめをお願いして、月に1本のペースで掲載していました。

今後はよりスピードを上げて、より分かりやすく、伝わりやすい文章を目指していきたいです。

3月からは、一人でも記事をアップできるよう投稿方法についても教えていただき、まだ不慣れな部分もありますが、少しずつチャレンジできる機会が増えています。

字を書くことや食事、タブレット操作などで困っている障害のある方にとって、「MOMO」が一つの選択肢として知られるよう、今後も事例をどんどん発信していきたいと思っています。

アシスティブテクノロジーを活用して

障害があることで、従来の方法ではパソコンを操作できなくなったとしても、アシスティブテクノロジーを活用することで「できなかったこと」が「できること」へと変わります。

それが自信となり、「次はこんなことに挑戦してみたい」と新たな意欲や可能性が生まれ、多様な人々が活躍できる社会へとつながっていくと感じます。

実際に、就労継続支援B型事業所のテクノベースでは、アシスティブテクノロジーを活用しながら、在宅勤務や通所勤務など、さまざまな働き方が実現されています。

最近では、リモートワークで働く方法が充実してきたことで、重度の身体障害があっても働きやすくなってきています。

しかし、それでもまだ就労へのハードルは高く、「重度障害者等就労支援特別事業」が利用できる地域は限られています。

アシスティブテクノロジーを使えば「働く環境」は整えることができるので、あとは制度面の整備が全国的に進めば、重度の障害があっても働ける方がもっと増えていくはずです。

障害があっても、誰もが自分が思う選択ができる社会になるように、これからも活動を続けて発信していきたいと思います。