高校2年生のそうたさんは、自閉スペクトラム症を持ち、筋ジストロフィーによる全身の筋力低下があるため、電動車椅子を使用しています。普段は車の本やユーチューブを見たりしています。
腕を思うように動かせず、対策してもうまくいかなかった
筋力低下により数年前から徐々に腕を持ち上げることが難しくなり、食事は口に運ぶ介助が必要です。練習時はお母さまが肘をサポートして行い、趣味の絵を描く時も支えています。
そうたさんは、お母さまが家事等をしながら彼の肘をずっと支えることが難しいため、手を机の上に置いて、手首の動く範囲にクッションを乗せて動かしていました。それでもずっと保持できず、すぐクッションがずれてしまい困っていたなか、作業療法士の先生に相談して、MOMOを知ったことが導入のきっかけでした。
お母さまは「初めて使ってみて、実際に小さい円が描け、手応えを感じました。MOMOを使い、将来を考えて色々できることはなるべく期間を伸ばして、できなくなった時もサポートしてできるようにしたい」と期待しました。
初めてMOMOを使って、実際に自分で絵や丸を描くところからできることが増えました。今後の可能性が潰え、やりたいことを諦めたくないという思いから、補装具費支給制度を利用して購入しました。


右腕のみを想定していたなか、片腕よりも両腕で使う方が体が傾かなくなり、どちらの手でも動かせることから、MOMOを両腕で使用することになりました。
食事は、脇が上がった状態を作り、肘は曲げやすくして、手が口に届くように調整することで、刺してもらった食べ物を介助なしで自分のタイミングで運んで食べることができます。絵を描く時は、手先がキャンパスに届きやすいよう調整し描いています。MOMOがあることで、筆を持ち替えることができます。


諦めていたことができるようになり、できることの幅が広がった
MOMO導入前は、病気の進行で、できることが減り、動かせないことで苛立ちを募らせていましたが、MOMOを導入して実際にできることが増え、便利になったことで、そうたさんは腕を動かせて嬉しそうにしていたとお母さまは言います。
お母さまは、「普通の人ができることを、なるべくできるように近づけていき、便利な補装具や道具を使って、遊びに行ったり、旅行に行ったりして楽しみをいっぱい増やしていきたい」という思いがあります。
MOMOを導入して、「諦めていたことが色々できるようになり、次の電動車椅子をどれにしようかといった、前向きにさせてくれた」とおっしゃっていただきました。できることの幅が更に広がって、新たな展望が開けています。

今後はボッチャやゲームにチャレンジ
今後はMOMOを使って、外出先でラジコンを更に自由に操作できるように、テーブルなしで手を動かしたり、軽いボールでボッチャをしたり、スイッチやワンタップのゲームからステップアップして、両手で違う操作をするゲームにもチャレンジしていきます。
そうたさんにとってMOMOのいいところ
- 腕を大きく動かせるようになり、肘も使えるようになって、大きい丸が描けるようになった。
- 食事や絵を描くことを、MOMOを使って機会を作ったことでできるようになり、電動車椅子に乗ることができた。
- MOMOで得られた情報から、絵も描けるようになり、工作で一部立体物を塗られるようになり、できることの可能性が増えた。
- MOMOを使って、生活が大きく変化した。
- 普段の姿勢は体を傾けて座っているが、MOMOを使うことで姿勢が良くなる。
MOMOの構成
- MOMO(両腕)
- MOMO用スプリング 弱
- 使用リンク 3 本
導入までの流れ
作業療法士による導入支援と医師の意見書により、MOMO導入を進めました。
取付・装着で工夫したこと
- 電動車椅子のオーバーテーブルに柵がありMOMOを取付けにくいため、木の板を挟んで段差を解消しました。
- 片腕のみでは姿勢が崩れてしまうため、また、両利きを生かすために両腕で導入しました。
- ご両親にMOMOの使い方をレクチャーし、日々どれぐらいバネを強くしたら動かしやすいか様子を見ながら調整してもらっています。 張力を上げすぎると腕が疲れてしまうため、その都度調整します。
- 食べる時は腕を高めに、絵を描く時は低めにその都度調整して使用します。
- 調整を変えない場合は、台を乗せて、底上げして工夫しています。