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アシスティブテクノロジーを活用して働いた半年を振り返って(前編)

アシスティブテクノロジーを活用して働いた半年を振り返って(前編)

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はじめまして。

テクノツールで営業サポートを担当している白井と申します。

テクノツールで働き始めて半年以上経ちました。

私がテクノツールと関わるようになったきっかけは、ゲーム支援のサポートを受けたことでした。

その後、アシスティブテクノロジーを活用して働ける「就労継続支援B型事業所 テクノベース」で就労経験を積み、多くの方の支えを受けながらテクノツールに入社することができました。

まだ働き始めて日は浅いですが、自分の経験が、障害があっても働きたいと考えている方々の参考や励みになればと思い、これまでの経緯や、就労支援の経験、実際に働いてみて感じたことなどを書いていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

自己紹介

私は「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」という、全身の筋力が徐々に低下していく病気の当事者です。

普段は電動車椅子を使って、家族と一緒に暮らしながら、重度訪問介護を利用して生活しています。

趣味は電動車椅子サッカーです。

この競技は電動車椅子の前方に「フットガード」を取り付けてプレイするサッカーで、重度の障害がある選手も多く参加しています。コントローラーは手や足、顎などで操作し、4人制の男女混合チームで行われます。ジョイスティックを操作できる方なら、どなたでも楽しめます。

今は全国大会を目指して、週末を中心に練習を頑張っています。

興味のある方はぜひこちらをご覧になってみてください。

これまでの経歴

私は3歳のときに筋ジストロフィーと診断され、小学3年生から車椅子での生活になりました。

家族や先生、介助者、友達など多くの方に支えてもらいながら大学まで進学し、文学部で日本史を学びました。

在学中に学芸員の資格取得を目指していましたが、実習への介助者の同行が認められず、資格取得は断念。非常に悔しい思いをしました。

大学3年の終わり頃から就職活動を始め、合同企業説明会や障害者雇用に積極的な企業の説明会などに参加しました。

しかし、会場では介助を必要としない方が多く、私のように常時介助が必要なケースでは就職のハードルが高いと感じました。

「高いところの荷物を取る」「重い物を持つ」などは配慮してもらえる企業もありますが、「トイレや食事の介助」といった日常的な支援を認めてくれる企業は、ほとんどありませんでした。

応募すらできず、面接や試験に進めないことも多く、とても厳しい現実を痛感しました。

ハローワークや地域障害者相談支援センターにも相談しましたが、紹介されるのは全介助を前提としない就労支援施設がほとんどで、就労支援事業所も自分に合った環境はなかなか見つかりませんでした。

同じような障害のある方のロールモデルもおらず、進路が決まっていく友人たちを見ながら焦りを感じていました。

テクノツールと出会ったきっかけ

転機となったのは、ゲームでした。

小さい頃からゲームが大好きでしたが、病気の進行により操作が難しくなり、次第に諦めるようになっていました。

それでも「またゲームを楽しみたい」という気持ちから調べていく中で、テクノツールの「ゲーム支援」(※現在は行っていません)に出会いました。

知人や病院の作業療法士からも勧められ、実際に自宅まで来ていただき、自分の身体の状態に合った機器を提案していただきました。

例えば、「Flex Controller」は、スイッチの位置や操作のしやすさを自分に合わせてカスタマイズできるゲームコントローラーです。

私はこちらとあわせて自分の手に合ったスイッチとジョイスティックを製作していただきました。

これを使って、久しぶりにゲームを楽しむことができたときは、本当に嬉しかったです。

テクノベースで働き始めた理由

約2年前、重度の障害がある方が介助を受けながらリモートで働いているという話を耳にしました。

私にも挑戦できるかもしれないと思い、その会社にエントリーすることを決め、そのために「障害者委託訓練」を受けました。

訓練では、WordやExcel、データ処理、ホームページ制作などを3か月間学びました。

その後、住んでいる自治体で「重度障害者等就労支援特別事業」という制度があることを知り、ヘルパーの支援を受けながらの就労が認められました。

就労への道は開けましたが、経験がないことから「本当に自分も働くことができるのだろうか」という不安がありました。

そんな中、2023年12月に新しく開所されたテクノベースを知りました。

体調や自分のペースに合わせて働くことができる点に魅力を感じ、就労経験を積むために働くリズムや環境に慣れようと思い、利用を決めました。

「就労継続支援B型事業所は上記の制度が使えず、ヘルパーの利用ができないため、家族に介助の負担がかかってしまう」

という課題もありましたが、「まずは一歩踏み出してみよう」と挑戦を決意しました。

テクノベースでの経験

2024年1月から、テクノベースの利用をスタートしました。

業務はリモートで行い、アノテーションのトライアルや経理関連の書類アップロード・照合作業、見込み顧客リスト作成、ナレッジベース作成、インボイス関連の対応など、さまざまな業務に取り組みました。

初めての就労経験の中で、朝礼での顔合わせや時間管理など、働くための基本的な力を身につけることができました。

通所ができなくても、リモートで他の利用者とつながって仕事ができたことは、とても大きな自信につながりました。

実際に会うことができなかった方も多いですが、共に働けたことはとても嬉しかったです。

スタッフの皆さんも親しみやすく、相談しやすい環境だったので、わからないこともすぐに聞くことができて心強かったです。

後編では、実際にテクノツールへ入社してからの仕事の内容や、感じていること、今後の目標についてお話ししたいと思います。