この章では、点字編集システムのグラフィック機能について説明します。グラフィック(図形)を描くには、点字編集画面から「グラフィック」→「グラフィック編集」でグラフィック画面に切り換えます。ファンクションキーなどの機能は、グラフィック画面と点字編集画面で大幅に異なりますが、プルダウンメニューの中にグラフィック画面で使用できる機能が表示されており、それをクリックすることによりファンクションキーを押したのと同じ機能が開始されます。
編集中の文書の用紙サイズが32マス×22行以下の場合のみグラフィック初期画面に切り換えることができます。
グラフィック(図形)を描いた後にグラフィックページの前方で文字や改行・改ページマークを挿入したり、削除したりすると、図形部分が点字部分とずれてしまうことがあります。このような編集を行った場合は、グラフィック画面に切り換え、各ページの図形の位置を確認してください。
図形の位置を移動したい場合は、「5.4.3図形の全体移動」「5.4.4図形のページ移動・複写」を行ってください。
グラフィック初期画面では、点字編集画面と同様に点字の入力・修正ができます。↑↓←→、上書/挿入、削除・後退キーが使用可能です。
グラフィック画面の表示は凸面のみです。点字編集画面で凹面表示されていてもグラフィック画面に切り換えると凸面表示に変わります。
メニューの「グラフィック」の中の「グラフィックがあるページに移動」を利用すると、グラフィックが含まれるページへ移動(ジャンプ)することができます。 メニューを選択するとダイアログが表示されます。リストボックスから移動したいページを選択してOKボタンを押してください。
注意:グラフィックが含まれない文書の場合は、リストボックスがグレーアウトになり利用できません。
グラフィックがあるページの背景色は次のように表示されます。また表示設定で色を変更することもできます。
色設定項目 | グラフィックの種類 | 初期値の色 |
---|---|---|
点字背景色(BESグラフィックあり) | 点や図形で構成されている場合 | 濃い青 |
点字背景色(グラフィックあり) | 点だけで構成されている場合 | 濃い緑 |
点字背景色(グラフィック裏面) | グラフィックの裏面の場合 | 濃い灰色 |
グラフィックが含まれるページは、文書設定にかかわらず、22行の行間隔で印刷されます。グラフィック表示にした場合には、文書設定にかかわらず、22行の行間隔で表示されます。文書設定と同じ行間隔で表示したい場合は、次の設定で変更できます。
メニューの「設定」の中の「点字プリンター、行・マス数設定」を開き「グラフィック印刷設定」ボタンを押します。
次に、「グラフィック表示時に22行の縮尺に変更する」のチェックボックスを「チェックなし」に変更して、OKボタンを押してください。
グラフィックがあるページでは、ステータスバーのグラフィックありの表示と共に図形または点の数を表示されます。
また、Ctrl+F12でグラフィックの存在を音声とピンで確認するときも図形または点の数を通知します。
グラフィック初期画面から、直線・三角形・円等の作成(描画)画面に進んだ段階で各図形の描画に共通の操作がいくつかあります。ここでまとめて説明しておきます。
直線の始点や終点、三角形や円の中心、放物線の接点等を指定する際、↑↓←→で適切な位置にバツ印(×)を移動します。より移動距離を短くするにはShiftやCtrlと↑↓←→とを組み合わせて使用します。
このときの移動ステップは以下の通りです。
キーの組み合わせ |
移動距離(点字印刷時) |
↑↓ |
1行(行間を含む)の1/3 |
←→ |
1マス(1文字) |
F1〜F4を用いて図形の平行移動(直線・放物線)、大きさの指定(三角形・円等)をすることができます。移動距離をより短くしたり、大きさのステップを小さくしたい場合は、ShiftやCtrlとF1〜F4とを組み合わせて使います。
このときの移動距離・大きさのステップは以下の通りです。
キーの組み合わせ |
平行移動・大きさのステップ(点字印刷時) |
F2/F3 |
1行(行間を含む)の1/3 |
F1/F4 |
1マス(1文字) |
F5、F6、F7を用いて線(点)の種類等を指定します。以下の組み合わせの中から選択できます。
F5・点の大きさ |
小 |
中 |
大 |
F6・点の間隔 |
狭い |
中 |
広い |
F7・線の種類 |
実線 |
破線 |
鎖線 |
グラフィック画面での点字の入力・他種の図形描画等のため、グラフィック初期画面に戻る場合はEscキーを押すか[編集画面に戻る]をクリックします。
注意:いずれの場合も大きさがゼロの図形を書かないように注意してください。予想されない図形が出力される可能性があります。
各図形の作成方法について説明します。
各解説では、キーボードを使っての説明を行っていますが、図形の要素選択はメニューからもできます。
グラフィック初期画面でF3を押すと直線の描画画面に進みます。
図5-2 直線を描く
直線描画の基本操作
上記の画面になった直後はバツ印は左上の角にあり、ダイアログボックスの下に隠れていますのでダイアログボックスを移動するか、点をカーソルで移動するとダイアログボックスがその場所を避けるように移動します。
◇↑↓←→・・終点の移動
◇F1 ・・・・・左平行移動
◇F2 ・・・・・下平行移動
◇F3 ・・・・・上平行移動
◇F4 ・・・・・右平行移動
F1〜F4:指定済みの始点を含め、その時のバツ印を結ぶ線全体が各方向に移動します。
◇F5 ・・・・・点の大きさ
◇F6 ・・・・・点の間隔
◇F7 ・・・・・線の種類
◇F8 ・・・・・垂直
◇F9 ・・・・・水平
F8、F9:始点に対して水平、垂直方向にバツ印が移動します。水平・垂直に方向を決めた後、↑↓←→で直線の長さを変えることも可能です。
◇F10・・・・・ 前回の線に連続
◇F11 ・・・・・前回の線の呼出
F10、F11:以下の「前回引いた直線の利用」を参照してください。
図5-3 直線の描画
前回描いた直線の利用
直線を2本以上引く際、前回引いた直線を利用すると便利な場合があります。
F10を押すと、前回引いた直線の終点が今回引く直線の始点に指定された状態になります。
改行キーを押す前の状態では、↑↓←→、F1〜F11が有効です。(前述の「直線描画の基本操作」参照)
F11を押すと、前回引いた直線が前回の直線に重なって表示されます。
改行キーを押す前の状態では、↑↓←→、F1〜F11が有効です。(前述の「直線描画の基本操作」参照)
グラフィック初期画面でF4を押すと三角形の描画画面に進みます。
図5-4 三角形を描く
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→三角形の移動
◇F1 ・・・・・底辺を短く
◇F2 ・・・・・高さを低く
◇F3 ・・・・・高さを高く
◇F4 ・・・・・底辺を長く
◇F5 ・・・・・点の大きさ
◇F6 ・・・・・点の間隔
◇F7 ・・・・・線の種類
グラフィック初期画面でF9を押すと円の描画画面に進みます。
図5-5 円を描く
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 円の移動
◇F1・・・・・ (円を)小さく
◇F2・・・・・ (円を)小さく
◇F3・・・・・ (円を)大きく
◇F4・・・・・ (円を)大きく
◇F5・・・・・ 点の大きさ
◇F6・・・・・ 点の間隔
◇F7・・・・・ 線の種類
グラフィック初期画面でShift+F9を押すと楕円の描画画面に進みます。
図5-6 楕円を描く
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 楕円の移動
◇F1 ・・・・・ (楕円を横方向に)細く
◇F2 ・・・・・ (楕円を縦方向に)低く
◇F3 ・・・・・ (楕円を)縦長に
◇F4 ・・・・・ (楕円を)横長に
◇F5 ・・・・・ 点の大きさ
◇F6 ・・・・・ 点の間隔
◇F7 ・・・・・ 線の種類
グラフィック初期画面でF10を押すと正方形の描画画面に進みます。
図5-7 正方形を描く
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 正方形の移動
◇F1・・・・・ (正方形を)小さく
◇F2・・・・・ (正方形を)小さく
◇F3・・・・・ (正方形を)大きく
◇F4 ・・・・・ (正方形を)大きく
◇F5 ・・・・・ 点の大きさ
◇F6 ・・・・・ 点の間隔
◇F7 ・・・・・ 線の種類
グラフィック初期画面でShift+F10を押すと長方形の描画画面に進みます。
図5-8 長方形を描く
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 長方形の移動
◇F1・・・・・ 細く(横の長さを短く)
◇F2・・・・・ 低く(縦の長さを短く)
◇F3 ・・・・・ 高く(縦の長さを長く)
◇F4 ・・・・・ 広く(横の長さを長く)
◇F5 ・・・・・ 点の大きさ
◇F6 ・・・・・ 点の間隔
◇F7 ・・・・・ 線の種類
グラフィック初期画面でF11を押すと放物線の描画画面に進みます。
図5-9 放物線を描く
放物線描画の基本操作
※接点決定後、以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 放物線の方向、長さ
◇F1 ・・・・・ 左平行移動
◇F2 ・・・・・ 下平行移動
◇F3 ・・・・・ 上平行移動
◇F4 ・・・・・ 右平行移動
F1〜F4:指定済の接点を含め、そのときの放物線全体が各方向に平行移動します。
◇F5 ・・・・・ 点の大きさ
◇F6 ・・・・・ 点の間隔
◇F7 ・・・・・ 線の種類
◇F8 ・・・・・ 垂直
◇F9 ・・・・・ 水平
F8、F9:接点に対して垂直・水平方向に移動します。
◇F10 ・・・・・開く
◇Shift+F10・・ 閉じる
F10、Shift+F10:放物線の開き具合を調節します。
◇F11 ・・・・・前回設定の呼出
改行キーで1つの放物線が描かれると、次の放物線の接点を指定するためのバツ印が画面に表示されます。
前回描いた放物線の利用
前回描いた放物線を呼び出して、その放物線に平行移動・終点の移動等の編集を加えて次の放物線を描くことができます。
※ F11を押すと、前回描いた放物線が前回描いた放物線に重なって表示されます。
※ 改行キーを押す前の状態では、↑↓←→、F1〜F11が有効です。
図5-10 描画中の放物線
グラフィック初期画面でF12を押すと点を1点ずつ描く画面に進みます。
図5-11 点を描く
※ 改行キーで一つの点が描かれると、少し右にずれた位置にバツ印が表示され次の点を打つ状態になっています。
作成済みの図形を修正したり消去することができます。また、他のページに移動・複写することもできます。
再編集作業では、描いた図形ごとに大きさ・形・点の大きさなどを変更することができます。
|
線の種類等 |
平行移動 |
大きさ |
終点位置 |
水平・垂直 |
開き |
消去 |
直線 |
F5〜F7 |
F1〜F4 |
|
↑↓←→ |
F8・F9 |
|
F12 |
三角形 |
F5〜F7 |
↑↓←→ |
F1〜F4 |
|
|
|
F12 |
円 |
F5〜F7 |
↑↓←→ |
F1〜F4 |
|
|
|
F12 |
楕円 |
F5〜F7 |
↑↓←→ |
F1〜F4 |
|
|
|
F12 |
正方形 |
F5〜F7 |
↑↓←→ |
F1〜F4 |
|
|
|
F12 |
長方形 |
F5〜F7 |
↑↓←→ |
F1〜F4 |
|
|
|
F12 |
放物線 |
F5〜F7 |
F1〜F4 |
|
↑↓←→ |
F8・F9 |
F10・Shift+F10 |
F12 |
点 |
|
↑↓←→ |
F5 |
|
|
|
F12 |
図形の消去を行うために次の3通りの方法が用意されています。
それぞれの操作方法を説明していきます。
個々の図形の消去
ページ内の全図形の消去
領域消去
グラフィック初期画面でF5を押すと、消去の画面に進みます。四角が消去される領域を示しています。
図5-14 領域消去
※以下のキーが有効です。
◇↑↓←→ 消去領域の移動
◇F1・・・・・ (消去領域の横を)短く
◇F2・・・・・ (消去領域の縦を)短く
◇F3・・・・・ (消去領域の縦を)長く
◇F4・・・・・ (消去領域の横を)長く
グラフィック初期画面でF1を押すと、図形の全体移動が可能な状態になります。
図5-15 全体移動
グラフィック初期画面でShift+F1を押すと図形のページ移動・複写の画面になります。
図5-16 ページ移動・複写
図5-17 ページ移動・複写作業中
グラフィック以外の印刷と同様、「ファイル」メニューから行います。
印刷する文書にグラフィックが含まれていると、印刷開始前に「グラフィックを含むページがあります。印刷してよろしいですか?」という確認のダイアログが開きます。
なお、グラフィック対応のプリンター以外では、グラフィックの印刷はできませんのでご注意ください。
グラフィックの印刷方法をつぎの 2つから選択できます。印刷するグラフィックの特性に合わせて選択してください。
設定は、メニューの中の「設定」の中の「点字プリンター、行・マス数設定」を選択し、「グラフィック印刷設定」ボタンを押してください。
点種別印刷 | 印刷方法 |
しない | 編集画面で描いた順番に印刷します。図形ごとに印刷します。 | 点種座標別 | 小点、中点、大点の順で印刷します。図形を座標に変換して座標順で印刷します。 |