第4章 解説編


4.1 ファイルメニュー

4.1.1 新規作成

新たに文章を書き始めるときに、この新規作成を選択します。
標準レイアウト、あるいは設定されているレイアウトの入力画面が表示されます。
概略は、第2章ですでに説明しています。

4.1.2 既存文書の変更修正

USBフラッシュメモリあるいはハードディスク内に作成した文書の続きを入力したり、修正・校正を行う際、「ファイル」→「開く」でファイルを開くダイアログボックスを表示し、ファイルを選択して[開く]をクリックします。


図4-1-1 ファイルを開く

ドライブの指定から読み込みまで

(音・ピ)全てスクリーンリーダーのガイドに従ってください。

開きたいファイルが、表示されているドライブやフォルダーと異なる場所にある場合は目的のドライブを指定し、そのなかのフォルダーのリストを表示します。
希望の文書ファイルが収められているフォルダーをダブルクリックすると、指定されているファイルの種類に一致したファイル名が表示されますので、希望のファイルをクリックするとファイル名に転記されます。確認して[開く]ボタンをクリックするとそのファイルが読み込まれます(扱えるファイルの種類については後述)。
ファイルを開く操作を中止する場合は[キャンセル]をクリックすると「ファイルを開く」ダイアログボックスが閉じます。

文書レイアウトの変更について

点字編集システムの環境(用紙の設定)と読み込もうとしたファイルのページ・レイアウトが異なるとき、メッセージで知らせてくれます。

  1. [ファイル]か[環境]のどちらに合わせるかボタンをクリックして指示します。[キャンセル]で読み込みを中止します。[環境]とはその編集画面で設定しているページ・レイアウトで、[設定]→[点字プリンタ、行・マス数設定]で指定したものです。標準は18行32マスとなっており、ユーザーが別のレイアウトを指定すればそれが引き継がれます。
  2. [環境]を指定した場合、設定値に合わせて読み込まれるため読み込み文書のそれまでの体裁がくずれ、ページがずれてきますので、ページ行はすべて空白になります。
  3. 点字編集画面にレイアウト変更後の文書が表示されますので、ページなどを再入力して下さい。

文書のレイアウト変更

上記の処理を行うと、既存文書のレイアウト(行数・マス数)変更ができます。すなわち、あらかじめ用紙の設定を希望する設定値にしておき、別レイアウトの文書を[環境]で読み込み保存すると、既存文書のレイアウトを自由に変更することができます。[ファイル]を指定した場合は、既存文書のままのレイアウトで文書が読み込まれて点字編集画面になります。

他データ形式ファイルの読み込みについて

点字編集システムで作成された文書以外のデータを、点字編集システムの文書として読み込むことができます。
文書選択画面でファイルの種類をリストボックスで指定することが出来ます。指定した拡張子を持つファイルが既に保管場所にあればそれらが表示されます。
読み込むファイルを指定し(クリックするとその名前がファイル名へコピーされます。直接パスも含めて入力することもできます)[開く]をクリックすれば点字編集システムの文書として読み込まれ、点字編集画面に進みます。

扱えるファイル(拡張子)の種類

【注意】
これ以外にも点字データとして一般に流布しているファイルタイプが「ファイルの種類」にリストされておりますが、それらのタイプのファイルを読み込み、書き出し、あるいは編集する時に 形が変化するなどの問題を含むことがありますので、充分校正をして お使いください。

複数ファイルの同時オープン

複数ファイルの編集が可能です。
修正画面が表示されているときに新たに別のファイルを作ってみましょう。
「ファイル」→「新規作成」を選んでください。少しずれた位置に新たに名称未設定という画面が表示されます。あるいは[ファイル]→[開く]で別のファイルを開いてみてください。
この2つの(2つに限りません)画面を利用して一方から他方へ文章をコピーしたり、移動したり、一方を参照しながら他方を修正するなどの作業ができます。
複数のファイルの表示方法はいろいろあります。「ウィンドウ」メニューの中から選んでください。左右に並べたり、上下に並べて、あるいは重ねて表示することができます。同時に扱えるファイル数は最大30に制限されています。
同じファイルを複数回開くこともできます。これを利用して一つの文書の中の異なる部分を参照しながら編集をすることができます。
この場合、最初に開いた文書に対しては変更を加えることができますが、それ以降に開いた文書は「読みとり専用」となっており、変更を加えることはできません。変更を加えない操作、例えば、その一部をほかのファイルへコピーするなどは可能です。

4.1.3 印刷

点字編集システムで作成した文書を点字プリンタ、墨字プリンタ(墨点字・墨訳・墨点字墨訳両方)に出力します。また、墨字プリンタに打ち出されるものと同一内容をテキストファイルに書き出すこともできます。

点字印刷

まず、印刷したい文書を開きます。
[読み取り専用ファイルとして開く]チェックボックスをチェックして読み込むと、誤って何かのキーを押しても編集作業は行えませんので、印刷だけを行う場合は、このオプションをおすすめします。
※点字印刷を行うには最初に、「設定」→「点字プリンタ、行・マス数設定」画面で指定し、片面・両面の設定(4.1.4 設定を参照ください。)を行う必要があります。
※また点字プリンタへの出力には、印刷ドライバー等を正しく設定(1.1.3 点字プリンタの接続・設定を参照ください。)する必要があります。
※グラフィック(図形)を含む文書を点字印刷する場合は、ESA-721等、グラフィック印刷に対応したプリンタを使用して下さい。

  1. [ファイル]→「点字印刷」を選択します。
  2. 印刷開始ページ(初期値1)を入力します。1ページ以外のページから印刷を開始したい場合は、削除・後退キーを押して数字を一旦0にした後、開始ページを入力します。
    ※なお、数値の入力は点字編集システムの入力設定に依存します。6点入力を行われている場合は、6点入力で数値を入力ください。
  3. ↓または改行キーを押して、終了ページ(初期値0)、部数(同1)を順次入力します。
    「終了ページ0」は「最終ページまで」を意味します。
  4. 点字プリンタの準備ができていることを確認後、「点字印刷」を押します。点字印刷が開始されます。

両面印刷について

「設定」→「点字プリンタ、行・マス数設定」画面で「手動両面および、自動両面」を指定すると、両面点字印刷を行うことができます。
文書の全ページを通して両面印刷する場合は、目次の1ページ目、本文の書き出し他、点字用紙の表面に印刷したい内容は、文書の奇数ページになるよう空白ページを作るなどの調整を行っておく必要があります。

  1. 自動両面モードによる両面点字印刷は、前記(片面印刷)と同様の操作で印刷を行います。
  2. 手動両面モードによる両面印刷も前記の手順で「点字印刷」まで進みますが、印刷開始前に打ち出す面を指定する画面が表示されます。
  3. 「奇数ページ」「偶数ページ」「強制片面印刷」は各々次のような印刷を行います。
    • 「奇数ページ」は、表面のことで、奇数番号のページの印刷を行います。
    • 「偶数ページ」は、裏面のことで、偶数番号のページの印刷を行います。
    • 「強制片面」は、表面裏面関係なくすべてのページの片面印刷を行います。
    打ち出す面のボタンを押すと、印刷が始まります。通常は、奇数ページ(表面)から印刷を行います。
  4. ページ範囲を指定しない場合(開始ページ1、終了ページ0)、奇数ページの印刷は、1、3、5、7、9、・・・・の順で最後まで印刷されます。 偶数ページの印刷では、2、4,6,8,10、・・・の順で最後まで印刷されます。
  5. ページ範囲を指定した場合、たとえば「開始ページ9、終了ページ20」に指定した場合、奇数ページの印刷は、9,11,13,15,17,19の順で印刷されます。偶数ページの印刷では、10、12、14、16、18、20の順で印刷されます。
  6. 奇数ページ(表面)の印刷が終了したら、用紙を切り取ります。
  7. 今印刷した面を裏返しにして、1枚目の裏側から印刷が開始されるように再度点字プリンタにセットします。
  8. メニューから点字印刷を再度選択し、今度は偶数ページ(裏面)の印刷を開始して、印刷の終了を待ちます。


※グラフィックが含まれるページは、両面印刷でも、片面印刷(22行32マス)でグラフィック印刷が行われます(グラフィック印刷はグラフィック対応プリンタのみ)。

点字連続印刷

  1. 無題の文書も含めてすべての文書を閉じてください。
  2. 「ファイル」メニューから「点字連続印刷」を選択してください。点字連続印刷の画面が開きます。
  3. 追加ボタンを押すと、開くダイアログが開きます。ここで印刷したい文書を選択して、開くボタンを押します。(※ShiftまたはCtrlを押しながら選択すると、複数ファイルを選択することができます)
  4. プリンター設定で、手動両面印刷を設定されている場合は、奇数ページまた偶数ページかの選択がひょうじされますので、いずれかを選択します。
  5. ファイルリストに追加されることを確認します。
  6. 複数の文書を印刷する場合は、再度追加ボタンを押してファイルを追加していきます。
  7. 追加した文書をリストから削除したい場合は削除ボタンを押します。
  8. 点字プリンタの準備ができていることを確認後、連続印刷開始ボタンを押します。


墨字印刷

墨字印刷

(音・ピ)スクリーンリーダーのガイドに従ってください。

点字編集画面におけるF4・墨訳と同様の墨訳および墨点字等を墨字プリンタで印刷します。
「ファイル」→「墨字印刷」を選択します。

墨字印刷の対象は、次の3種類より選べます。

操作方法は以下の通りです。まず、印刷したい文書を開きます。[読み取り専用ファイルとして開く]チェックボックスをチェックして読み込むと、誤っても編集作業は行えませんので、印刷だけを行う場合は、このオプションをおすすめします。

  1. 「ファイル」→「墨字印刷」を選択します。
  2. 印刷対象のグループから印刷したい項目を選択します。
  3. 墨訳の場合は、墨点字のあり・なしを選択します。
  4. 墨点字で改行改ページを印刷するのチェックのあり・なしを選択します。
  5. 「ページ設定」ボタンを押して用紙設定を行います。
  6. 「印刷」ボタンを押します。
  7. 「印刷」ダイアログが表示され、ページ数や、部数を指定する画面になりますので、必要な項目を入力し、[OK]ボタンを押してください。印刷を開始します。

4.1.4 設定

画面上の点字表示・色、打ち出し時に使用する点字プリンタ・点字用紙、入力設定などの設定を行います。一度設定すると点字編集システムの中に書き込まれ、変更するまで有効です。メニューから「設定」を選択して設定の変更を行います。

点字プリンタ、行・マス数設定

点字、墨字ともに印刷に関係する設定をここで行います。
使用する点字プリンタの機種、ページレイアウト、行/桁数はここで設定します。
この設定に従って文書の1ページの行数、1行のマス数が決まります。

  1. 「設定」→「点字プリンタ、行・マス数設定」を選択します。
  2. タブ(Tab)キーで各項目にカーソルが移動します。
  3. 用紙レイアウト(B5,A4)と1ページの文字数・行数は点字プリンタによって固定されています。例えばESA-721で片面・B5用紙を指定すれば32マス22行に、片面・A4を指定すれば38マス24行となります。プリンタと用紙を選んだときに自動的にマス数、行数が表示されます。
    用紙レイアウト「自由」を選んだときのみ、文字数・行数の項目にカーソルを移動することができます。誤って入力した場合は、削除・後退キーを押して下さい。数字は0になります。入力方法は入力設定に規定されている方法で行います。
    1つの文書の「1〜10ページをESA721のB5で、11〜20ページをA4で」というような設定はできません。
  4. マス数を40マスに設定するには、点字プリンターを下記の設定にしてください。
    • NABCC標準
    • ESA721
    • ESA300Pro
    • ESA919
    • ESA600G
    • ESA300x2
  5. プリンタドライバーの設定では、通常、Generic / Text Onlyを指定します。(ただし、プリンタドライバー作成時に名前を変更した場合は、変更した名前を指定してください。)
    なお、詳細につきましては、1.1.3 点字プリンタの接続・設定をご覧ください。
  6. すべての項目の指定が終了したら[保存終了]ボタンを押すか改行キーを押します。設定が点字編集システムに書き込まれます。保存しない場合は破棄終了かEscキーを押します。


点字ディスプレイ設定

ここでは、点字ピンディスプレイの接続設定を行います。
設定を開くと、機器の選択・接続ポート番号の選択・通信速度の設定・フロー制御の項目があり、それぞれの項目へはTabキーで移動できます。接続する点字ピンディスプレイに合わせた設定を順次行ってください。
なお、点字ピンディスプレイを使用しない場合は、機器の選択項目で、「なし」を選択します。
※点字編集画面で使用できる音声およびピンディスプレイの機能については第6章音声およびピンディスプレイの機能 6.1.1 設定を参照ください。

表示設定

画面の色やフォントの画面表示に関する設定をここで行います。



入力設定

「入力方式」の選択、ファイルオープン時「上書・挿入」のいずれのモードにする、「バックアップファイル」をつくるかどうか、入力・編集操作後の取り消しを行える「元に戻す」機能を有効にするか無効にするか、また6点入力を行う場合の「6点キーの設定」、マウスの退避をする・しないを設定できます。

「入力方式」の設定欄をクリックするか、カーソルを合わせて(反転表示になります)↑↓のキーを押すと、以下の4種類の入力方式から選択することができます。

  1. 6点:点字タイプライターと同様に6つのキーのいくつかを同時に押して点字を入力します。6点キーの設定は、ダイアログの下方で行います。
  2. かな:フルキーボードからのかなモードにより点字を入力します。記号類の点字への変換は、「付録 フルキー入力」の点字変換ルールに従います。
  3. 英数:フルキーボードからの英数モードにより、点字を入力します。記号類の点字への変換は、「付録 フルキー入力」の点字変換ルールにしたがいます。
  4. ローマ字かな:フルキーボードからローマ字かな入力モードにより、点字を入力します。記号類の点字への変換は、「付録 フルキー入力」の点字変換ルールにしたがいます。

(音・ピ)Ctrl+Iを押すと入力モードを確認することができます。

※「かな」や「Rかな」で、英数字の入力に切り替える場合は、「英字」キーを押します。もう一度「英字」キーを押すと「かな」または「Rかな」の入力モードに戻ります。なお「カタカナひらがな」キーでも切り替えることができます。

音声設定

点字編集システムには、専用の音声読み上げ機能が備わっています(男性音のみ)。また、SAPI対応の音声エンジンで読み上げることもできます。なお、ダイアログの読み上げには、音声読み上げソフトウェアが必要です。
なお、詳細につきましては、第6章音声およびピンディスプレイの機能 6.1.1 設定をご覧ください。



英語表記切り替え
従来表記従来の英語表記に基づき、墨訳します
新表記(2016年から)2016年4月より利用されている一般日本語文章中の英語の語句や文についての「新表記」に基づき、墨訳します。(※これはUEBの対応ではありません)

英語の「新表記」の詳細については下記のページをご参照ください。

タブ設定

設定方法の詳細は、4.2.14 タブ設定をご参照ください。

単語・短文登録

設定方法の詳細は、3.2.4 単語・短文登録を利用するをご参照ください。

カーソル位置保存と利用
チェックありBESファイル、およびBESXファイル保存時にカーソル位置を記録します。文書を開くときは記録されたカーソル位置に自動で移動します。
チェックなしBESファイル、およびBESXファイル保存時にカーソル位置を記録しません。さらに、カーソル位置が既に記録されている文書を開くときに、そのカーソル位置へ自動で移動しません。

製作支援(BESX)を使用する

「製作支援(BESX)」を使用するかどうかを選択できます。

「製作支援(BESX)」については、製作支援機能(BESX)マニュアルをご参照ください。

設定の初期化

点字編集システムのすべての設定を初期化することができます。

目次のつなぎ線
詳細は「3.2.15 目次を自動作成する」の「目次のつなぎ線を選択する」を参照してください。

ファイルの読み込みページチェック数
厳密にチェックしない通常はこちらに設定してください。
厳密にチェックする何らかの事情でファイルの読み込み時のページ数チェックを厳密に行いたい場合にこちらを選択してください。

ファイル名の表示
フルパス表示タイトルバーにフルパスを表示します。
ファイル名のみ表示タイトルバーにファイル名のみを表示します。
(※Ctrl+Insertで、ファイル名を読み上げで確認する場合は、最初に押した場合はファイル名のみ読み上げます。連続して押した場合はフルパスで読み上げます。)

ファイルの種類の表示の選択(BESX有効時のみ)
BESXとBESの両方開くダイアログ等で、BESXとBESファイル両方表示します。
BESXのみ開くダイアログ等で、BESXファイルのみ表示します。


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